可哀想ババア

赤子が産まれもうすぐ4ヶ月。
秋産まれの赤子を外に連れ出すと電車やバス内で声をかけてくる人がいる。

そう、可哀想ババアである。

可哀想ババアとは
寒い日に出かけている赤子連れの親に
「何ヵ月?こんな寒いのに可哀想ねえ」
と話しかけてくるババアである。

必ずいるのだ。
何故か必ず潜んでいるのだ。

何故可哀想と決めつけるのか。
赤子は高熱を出してぐったりしているわけでもぐずっているわけでもなく目を爛々とさせている。
口をホォー……という形にしてキョロキョロしている。

親は赤子を部屋着のまま靴下も穿かせず薄着のままで外に連れ出しているわけではない。

靴下を穿かせもこもこのアウターを着せるか部屋着+1枚着せニット帽を被せケープ(抱っこ紐やベビーカーにつける防寒具)をつけているのだ。

そもそも赤子は大人よりも1枚少なめでいいと言われている。
体温の調節が下手くそなので着せすぎると37℃後半とか平気で出る。

可哀想ババアは何を以てして可哀想と言うのか。

もしかしたら親が着せてる服や防寒具が見えてないのかもしれない。
自分らの体温調節機能が衰えているのかもしれない。
もしかしたらヒートテックを6枚着たうえにニットを重ね着して更にはアウターも着ているのかもしれない。

そんな重装備をしているババアならたしかに赤子は寒そうに見えるのかもしれない。

そんな可哀想ババアはどうして寒いなか外に出たがるのか。非常に謎である。
身体が衰えてきて寒いのは辛いはずだ。
赤子に寒いなか出掛けさせるの可哀想というくらいだ。きっと凍死するほど寒くて仕方ないはずだ。

おかしい。何故出掛けているのだ。
寒いなか出掛けるの彼(女)らからしたら可哀想なのだ。
素敵な王子さまが温かいコーヒーでもくれるのか?
それとも寒いなか外に出てる可哀想な自分が好きな悲劇のヒロイン的な何かなのか?
本当にわからない。

今度出掛けた時に遭遇したら聞いてみようと思う。